事故を未然に防ぐためにはもちろん、万が一に備えて正しい知識を身につけておきましょう。
カレントとは「潮の流れ」のこと
ここではダイバーが影響を受けやすい、代表的な潮の流れについて解説します。
- ダウンカレント
- 海底に向かう流れのこと。潮流が岩礁などにぶつかり、沈み込むような流れのこと。引きずり込まれるような強さを持つことも。別名「下降流」。
- アップカレント
- 水面に向かう流れのこと。潮流が岩礁などにぶつかり、吹きあがるような流れのこと。別名「上昇流」。
- ロングショアカレント
- 海岸線に沿った強い流れで、ダイバーが泳げなくなるほど。ドリフトダイビングには最適。別名「沿岸流」。Longshore(沿岸)+Current(流れ)。
- リップカレント
- ロングショアカレント同士のぶつかりや、サンゴ礁の切れ目などに発生する局地的な流れ。水面から見分けやすい。(扇状に広がっている。黒く濁っていたり、ゴミが溜まっている。)リップカレントがある海岸には赤い旗が立っていることがほとんど。別名「離岸流」。Rip(裂け目)+Current(流れ)。
カレントにハマってしまった場合の対処法
4種類すべてのカレントに対して有効な対処法があります。
それは「潮の流れに対して横方向に泳ぐこと」。
流れに逆らうことはまず無理だと考えましょう。太刀打ち出来ないほどの強さで流されてしまいます。また、流れに乗ってしまうと、最悪の場合、急降下して海の藻屑、・急浮上して減圧症・打ち付けられて複雑骨折、など…本当に最悪の事態に陥る可能性があります。
まずは流れから逃れること、そのために全力で横方向に泳ぐこと。これだけは必ず覚えておいてくださいね。
ダウンカレントの対処法
- 自分の水深を落ち着いて確認する
- BCに空気を入れる
- 流れに対して横方向に泳ぐ
- 掴まれるものを探し、つたって移動する
- ウェイトを捨てる
- 頭を上にしてキックを続ける
片手は常にBCの給気ボタンを持つようにします。ダウンカレントから逃れられたらすぐにBCに空気を抜き、急浮上を防ぎます。ウェイトを減らすのは最終手段にしましょう。
アップカレントの対処法
- 自分の水深を落ち着いて確認する
- 水面にボートがないか確認する
- BCから空気を抜く
- 流れに対して横方向に泳ぐ
- 掴まれるものを探し、つたって移動する
- 頭を下にしてキックを続ける
ダウンカレントと同様、片手は常にBCの給気ボタンを持つようにします。アップカレントから逃れられたらすぐにBCに空気を入れることで、急潜行を防ぐことができます。
カレント巻き込み予防方法
自分の位置を把握する
カレントは知らず知らずのうちに流されていることが多いもの。まずはいま、自分のいる水深やバディとの距離を把握しましょう。特に初心者の場合・透明度/透視度が悪い場合は、バディと手の届く範囲にいるようにします。水深はダイブガイドと同じか若干浅い位置にしておくと安心です。
泡の流れ方に注意
流れがあると、泡がまっすぐに上がらず、横や下に流れたり、目の前で渦巻いたりします。カレントが発生しやすいポイントでは特に泡の流れ方に注意して観察しましょう。
ダイブガイドから離れない
ガイドから離れてしまうと助けが遅れかねません。写真等に夢中になりすぎず、ガイドの近くにいるようにします。また、自分が通るルートもガイドとほぼ同じにしておくとより安心ですね。
安全グッズを用意しておく
- フロート
- 縦長の袋に空気を入れ、水面に立てることで、ダイバーの位置を知らせます。流れの強いポイントでダイビングする場合は必携のアイテムです!
- カレントフック
- フックを岩にひっかけて使います。自分のBCと岩をつなぐことで、流れのなかを漂うようにその場でウォッチングを楽しむことが出来ます。
- グローブ
- 岩に掴まることができるので、根待ちはもちろん、万が一流されたときにロッククライミングすることもできます。
- ライト・ストロボ・鏡
- 透明度・透視度が悪いときに使うのはもちろん、自分の位置を知らせるためにも使えます。ストロボはライトよりも照明が強いのでおすすめです。また、鏡は水面で太陽の光をキラキラ反射させることで、遭難者の発見につながりやすくなります。電池も不要で安価なので、1枚ポケットに入れておくと安心ですね。
適正ウェイトで潜る
とくに緊急時は適正ウェイトでないと急降下・急浮上につながりかねません。日頃から中性浮力を問題なくとれるようにしましょう。
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この記事を書いた人
- 723SNSIダイブガイド。2018年中にインストラクター予定。 鹿児島の離島、徳之島で晴れの日はクジラとカメを追い、雨の日はWebコンサルティングを行う。