ダイビング直後に飛行機に乗ると減圧症発症のリスクが増加!

スキューバダイビング直後に飛行機に搭乗すると、減圧症の発症リスクが急激に増加します。
減圧症とは、体内の窒素が血液中で気泡になり血流を妨げることで、頭痛や手足の痺れといった症状がでる障害。治療が遅れると重い後遺症が残ることもあります。

そのため、PADIやSSIなどのダイビング指導団体は「ダイビング後の飛行機搭乗までの間隔」を以下のようにガイドラインで定めています。

  • 1本ダイビングしたなら12時間
  • 2本以上ダイビングをしたなら18時間
  • 最終ダイビングから24時間空いていれば、より安全性は高まる

1本のダイビングをしたら12時間、2本以上のダイビングをしたなら18時間は間隔をあけて飛行機に搭乗するよう、余裕を持った予定を立てておきましょう。

たとえば、最終ダイビングがお昼の12時頃だとしたら、翌日の午前6時で18時間。最終ダイビング翌日の午後便に搭乗すれば、ダイビング後24時間が経過していますので、減圧症になってしまうリスクはかなり低くなります。

体験ダイビングや潜った水深に関係なく、このガイドラインに沿って飛行機に搭乗してください。

ただし、上記の時間をあけて飛行機に搭乗すれば、絶対に減圧症にならないわけではありません。減圧症発症リスクは、その時の体調や生活習慣など個人差があるということは覚えておきましょう。

飛行機で到着した当日のダイビング

飛行機で到着した当日のダイビングは問題ありません。

ダイビング当日に飛行機に乗っていた事によって、減圧症になってしまう事はありませんが、ダイビングをするかどうかはその時の体調と相談して決めましょう。

長時間のフライトでは疲れもたまり、乾燥した機内で過ごすことで脱水症状を起こしているかもしれません。
飛行機に乗って耳の調子がおかしくなってしまった時は、ダイビング中の耳抜きがうまくできない可能性もあります。

ダイビングを楽しめるかどうか、減圧症の発症リスクを低くできるかは、体調によっても左右されますので、できるだけ疲労を回復してからダイビングをしましょう。

シュノーケリングなら飛行機搭乗当日でも大丈夫!

水面にぷかぷかと浮かんで楽しむシュノーケリングは飛行機に搭乗する当日でも楽しめます。

飛行機で帰るギリギリまで楽しみたいという方は、シュノーケリングや素潜りで楽しんでみてはいかがでしょうか。

ダイビング後に飛行機に搭乗すると減圧症のリスクが高まる理由

減圧症は、呼吸によって体内に取り込んだ「窒素」が気泡になることで発症します。

スキューバダイビングはタンク内に充填された空気で呼吸をしますが、空気はその成分の80%が「窒素」です。
窒素は体内に一定量が蓄積されていますが、水面・地上にいる間は問題ありません。

ところが、窒素は水圧が高ければ高いほど、つまり深く潜れば潜るほど体内に溶けこむ量が増えますので、ダイビングをすれば水面にいる時よりもたくさんの窒素が体内にたまっています。

体内に溶けこんでいる窒素は、水圧が低くなるにしたがって血液によって肺に運ばれ呼吸によってゆっくりと排出されていきますが、浮上スピードが速すぎると周囲の水圧が急激に低くなり、溶け込んだ窒素が体内で気泡になってしまいます。
気泡化した窒素が血管を詰まらせて、減圧症の症状を引き起こします。

ではなぜ、ダイビング後に飛行機に搭乗すると減圧症のリスクが高まるのでしょうか?

減圧症発症リスクの増加原因は気圧変化

人間の体内に蓄積される窒素量の限界は、周囲の気圧(水圧)によって変化します。気圧が高い状態(水圧の高い状態)ではより多くの窒素が体内に溶けこみ、気圧が低い状態では体内に溶けこむ限界量も少なくなります。

ダイビングをして過剰に溶け込んでいる窒素は、ゆっくりと時間をかけて体外に排出されます。

体の組織は若干の窒素過剰状態には耐えられるので通常は問題ありませんが、この状態で気圧の低い場所に移動すると、過剰な窒素の分だけ気泡になりやすく、減圧症の発症リスクが高まるのです。

飛行機が飛ぶ高度は通常約1万メートルで、気圧は地上の5分の1、約0.2気圧まで下がります。
機内は与圧されているものの、0.8気圧程度に低下するため、体内の残留窒素が気泡化しやすくなるのです。

このメカニズムと同じ理由で、以下のような事も減圧症リスクを高める可能性がありますので注意しましょう。

  1. ダイビング後に山登りをする
  2. ダイビングをした日に山岳地帯の宿に泊まる
  3. 高所を車で移動する(伊豆でのダイビング後、箱根峠を移動した事で減圧症が発症した例も!)

もし減圧症の症状が出たらどうする?


減圧症は自然治癒しません。
窒素の気泡が発生した場所によって減圧症の症状はさまざまですが、少しでも違和感があればすぐに「高圧酸素療法」ができる病院で相談しましょう。

減圧症の症状例

  • 頭痛やぼーっとする
  • かゆい発疹がある
  • 呼吸困難やせき、胸部の焼けつくような感じ
  • 関節や筋肉の痛み
  • 手足のしびれ、マヒ

減圧症の治療ができる病院

減圧症の治療は「高気圧酸素治療(チャンバー)」で行いますので、専門医に相談しましょう。
東京医科歯科大学医学部付属病院の高気圧治療部が有名ですが、DAN(Divers Alert Network)JAPANで、日本国内で高気圧酸素治療専門医を検索することができます。

ダイビングは余裕を持った計画でのんびりと!

下の表は、私が沖縄へダイビング旅行に行った時のスケジュールです。ダイビング旅行の参考にしてみてください。

行程
1日目 10:00~14:00 那覇空港に到着し車で移動
15:00~16:00 ダイビング x 1本
2日目 10:00~13:00 ダイビング x 2本
14:00~15:00 ダイビング x 1本
最終日 8:00~16:00 沖縄観光
18:00 那覇空港を離陸(最後のダイビングから27時間後)

この時の沖縄旅行では、飛行機での到着日に1本ダイビングをして、帰る飛行機の時間が18:00だった事もあって、2日目の午後もダイビングをしました。

もし海外旅行など、搭乗する飛行機の便数が少なくスケジュールがギリギリになりそうな場合は、もっと余裕を持った予定を立てた方が良いでしょう。
最終日の前日を買い物などの観光にあてて、のんびりする予定にするのがおすすめです。

この記事を書いた人

  • 井上 憲作
    SNSIダイブガイドを2018年7月に取得。 海より山が好きと公言していたが、2017年ダイビングと出会い「どハマり」し、すっかり海好きになりました(笑)

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