ダイバーなら一度は体験してみたい!「ナイトダイビング」。でも…初心者でも大丈夫?なんだか怖い…危険じゃないの?そんな不安がある方に、ナイトダイビングを安全に楽しむ方法や夜ならではの魅力について解説します!
そもそもナイトダイビングは「夜、潜ること」を指しますが、初心者にはそれ以上のイメージはなかなかつかみにくいもの。そこで、ナイトダイビングの特徴や楽しみ方について解説します。
ナイトダイビングは日中のダイビングよりも視界が悪く、水温も低いため、チャレンジングなスタイル(ドリフトダイビングなど)では潜りません。水深10メートル程度の浅場を60分以上かけてゆったりと楽しむイメージです。人によっては緊張によってエアを多く消費する傾向もありますが、水深が浅いため残圧が少なくなる速さは遅く感じるかもしれません。
水温が低い時期やポイントはナイトダイビングには厳しい、ともいえるでしょう。(長時間潜ることで身体が冷え切ってしまうため。)
ゆったり潜るスタイルなので、初心者の方は日中のダイビングよりもストレスなく潜れるかもしれませんね。以下のチェックリストを満たしている場合、初心者でもナイトダイビングを楽しめる可能性が高いでしょう。
オープンウォーターやアドバンスドオープンウォーター、ナイトダイビングのスペシャリティ等の資格を取得したかどうかよりも、上記指標で判断するほうが安心ですよ。
ダイビングポイントに到着するのが夕方頃になっても潜れるのがナイトダイビングの魅力のひとつ!1本でも多く楽しみたい派にはもってこいですね。
逆に翌日飛行機の搭乗や高所移動を控えている場合は、ナイトダイビングは避けておきましょう。
夜の水中は、実は真っ暗ではありません。月の明かりは想像以上に明るいことに驚くことでしょう。水中から水面を見上げた時の光景はとても幻想的です。日中の海以上に水中の静寂を感じることができるのも魅力のひとつと言えるでしょう。
ちなみに…暗い部屋の中にいても徐々に室内が見えてくること、ありますよね。これは目が暗さに順応することで周囲が見えるようになるからです。同様に暗い水中にいても目が慣れてくるので、心配ないですよ。
ただし、どうしても視界が狭くなってしまうのがナイトダイビング。バディが確認できる位置にいる状態で潜るようにしましょう。
水中生物の多くは早朝がもっとも活動的です。逆に夜は生き物もおやすみの時間。いつもとは違った表情を見せてくれます。本来なら素早い動きの魚も、おっとり動いていることもしばしば。ぜひサンゴや岩の隙間など、寝床になりやすそうなところはじっくり探してみてくださいね。
また夜行性の生き物や、夜だからこその表情を見せる生き物は特に見逃せません。早速ご紹介しましょう!
キビナゴには「走光性」という光に集まってくる習性があります。そのためキビナゴの近くで水中ライトを振り回していると、キビナゴがかなり集まってきます。筆者の場合ウェットスーツにどんどん突進してきて多少の痛みを感じるほど!汗
どうやらキビナゴは光を敵と勘違いしてパニックになってしまうようです…やりすぎはアレですが、ナイトダイビングならではの楽しみ方ですね。
夜光虫とは海洋性のプランクトンのこと。刺激を与えると青白く光り、幻想的な光景が広がります。安全を確保した上で、グループ全員でライトを消し、腕を思いっきり振ってみましょう。するとスーツに付着していた夜光虫がぼんやり光りながら舞い落ちる景色を楽しむことができます。
クマノミは眠るときに潮に流されないよう、イソギンチャクに絡みついています。昼間とは違ったかわいらしさを垣間見るチャンス!ぜひ探してみてください。
ここからは実際にナイトダイビングで潜る際のポイントやコツを紹介します。
慣れた器材でも暗いなかセッティングするのは至難の業。手順ミスが生じたり、ちょっと器材を落としただけで探すのにも一苦労…そうならないためにも、日没頃には器材のセッティングを完了しておきましょう。小物等を見失わないように、きちんと一か所にまとめて梱包しておくこともポイントです。
また、畜光性の器材(残圧計やコンパスなど)にライトの光を一定時間当てておくと、水中でぼんやり光ってくれるので探しやすくなりますよ。
ナイトダイビングの主流である、ビーチエントリーの手順を紹介します。
足元が波にさらわれないようにすることや、落とし物のないように対策をしておくとスムーズなエントリーになるでしょう。
ちなみにエキジット時は逆の手順で、水深が腰の高さになるまでは泳ぎ、そこからフィンを片足ずつ脱ぎ、ビーチへ歩きます。エキジットのときも、フィン以外の器材はビーチに着くまで外さないようにしておきましょう。
なおボートエントリーの場合、ライトは点灯しておき、脇に挟んだ状態で行います。コード等絡まないように気を付けましょう。
水中で仲間や水中ライトの光を見失った場合、以下の手順で対処しましょう。(現地で指示があった場合はそちらに従ってください。)
一番問題なのは水中で待ち続けてエアやライトの電池が切れてしまうことや、仲間を探そうとして余計に距離が離れてしまうこと。まずは落ち着いて浮上し、救助を待つようにしましょう。
ナイトダイビングで使う器材の中でもっとも重要と言っても過言ではないのが、水中ライト。使い方のポイントをしっかり押さえて、快適なナイトダイビングを楽しみましょう。
万が一ライトを無くしたり、故障してしまったときのために、予備のライトを必ず準備しておきます。
ナイトダイビングは長時間ゆったり潜るスタイルです。途中でライトの電池が切れた!なんてことのないように、少なくとも前日にはライトの電池残量を確認しておくようにしましょう。光量が調整できるライトの場合、100%だと大体40~50分程度、50%で100分程度使えます。50%で十分明るさは確保できますよ。
ライトで照らす向きは以下に注意しましょう。
このいずれも、相手が眩しくならないようにするためのポイントです。暗闇の中で眩しい光を当てられると、しばらく目の機能が失われてしまいますよね。その間に何か起こってしまうことのないよう、上記のポイントは必ず守るようにしましょう。
ちなみに皆さんは「ダツ」という魚をご存知でしょうか?キビナゴ同様、光に集まってくる習性があるのですが…鋭い矢のような体が時速70キロで突進してきます!その威力は身体が引き裂かれるほどだとか。ダイビングポイントにいる可能性があるときは、ガイドの方が必ず教えてくれるハズ。(南国の海に多く生息しています。)ですがライトでまっすぐ正面を照らしていると、ダツが突進してきて大事故になる可能性もゼロではありません。万が一のためにも水底を照らしておくほうが無難ですね。
ハンドシグナルと同様、ライトにもシグナルがあります。必ず押さえておきたいライトシグナルは以下の3つです。
ハンドシグナルを相手に伝えるときも、相手が眩しくならないよう、光の向き先が自分の胸になるように照らしましょう。(そうすることで残圧を伝えているのが誰であるかも伝わりやすくなります。)
ナイトダイビング中、片手は常にライトでふさがっています。片手がふさがることに慣れていない人、たとえば中性浮力をとる際に手がバタついてしまう人は、ライトの光が一点に定まらず周りの人が眩しくなってしまうかもしれません。
片手がふさがる状況に慣れていない場合は、カメラを持っていくことは避けたほうが無難でしょう。ハンドシグナルも片手で済ませられるようにしておきます。
なおライトは必ずバンド等で手にかけつつ、BCにも繋いでおくようにしましょう。BCのポケットに入れておくだけではなくしてしまう可能性があります。
いかがでしたか?ポイントさえ押さえれば初心者の方でもナイトダイビングは十分楽しむことができます。ただし油断は禁物。二重三重の安全策をとっておくことが大事ですね!
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