スキューバダイビングのライセンスには様々な種類があるので、よく分からずに混乱している方も多いと思います。
そこで、ダイビングライセンスの仕組みや種類について、どこまで取得すると何ができるのか、アマチュアからプロまでまとめて分かりやすく解説します!
ダイビングライセンスとは?Cカードと違うの?
ダイビングライセンスは、ダイバーへの教育プログラムの策定や教材提供などを行っている「スキューバダイビング指導団体」という組織が認定する認定証です。
「認定」という意味の英語「Certification」の頭文字をとって、正式名がCカード(Certification Card)、通称としてダイビングライセンスと呼ばれます。
ダイビングライセンスは、指導団体が認定する認定証なので国家資格ではありません。
ダイビングに関連する国家資格には「潜水士」がありますが、こちらは「仕事としてダイビングをする人が所有しなくてはならない資格」で、趣味としてダイビングをする分には必要ありません。
ただ、潜水士の資格試験そのものは「筆記のみ」で実技試験はなくダイビング経験がなくても取得は可能ですので、スキューバダイビングをやろうと思ったらダイビングの実技を学ぶ必要があります。
体験ダイビングならダイビングライセンスがなくても楽しめますが、毎回講習を聞く必要があるうえに水深10m程度までしか潜れないなど遊べる範囲はものすごく狭くなるので、趣味としてスキューバダイビングを続けるならダイビングライセンスの取得は必須です。
ダイビング指導団体とは?
スキューバダイビングの指導団体は世界中に様々あり、有名なところだと「PADI(パディ)」「NAUI(ナウイ)」「SSI(エスエスアイ)」「SNSI(エスエヌエスアイ)」「BSAC(ビーエスエーシー)」といった団体があります。
他にもたくさんありますが、主要14の指導団体で構成されている「Cカード評議会」という組織に加盟している指導団体のCカードであれば、世界中で問題なくスキューバダイビングを楽しむことができます。
どこの指導団体がいいの?という疑問があると思いますが、指導団体そのものの優劣や、ライセンスの取りやすい・取りにくい指導団体というものはありません。
それよりもライセンスを取得するショップ選びの方が重要です。無料説明会などでの受け答えの内容やお店の雰囲気などから、そのショップが自分に合っているかどうか判断して決めましょう。
チェックシート付き!本当のダイビングショップの選び方【事故らないために】
PADI(パディ)
1966年アメリカで創設。全世界の約60%のダイバーが所属していると言われるほどメジャーな指導団体です。日本でもPADIに所属するショップの数も多くありますが、フリーでも開業ができる事が広まった理由と言われています。その数の多さからか、あまり良くない評判のショップの数も多くあるという感じです。
NAUI(ナウイ)
1960年アメリカで創設。PADIと並んで有名な指導団体ですので、日本でも所属するショップも多いと思います。
SSI(エスエスアイ)
1966年アメリカで創設。フリーインストラクター活動を認めておらず、必ず自分でリアル店舗を持つか、どこかのショップに所属しなければプロとして活動できません。所属するための基準がPADIなどよりも高いため、無茶苦茶な接客をするショップが少ないと言えるかもしれません。
SNSI(エスエヌエスアイ)
1994年イタリアで創設。テクニカルダイビング(水深40m以上、洞窟ダイビングなど)の認定機関として有名だったためか、質の高いトレーニングが特徴です。
Cカードを持っていないと、空気の入ったタンクを借りることができなったり、ファンダイビングツアーに参加できなかったり、事実上スキューバダイビングはできません。
BSAC(ビーエスエーシー)
1953年イギリスで創設。世界最古の指導団体と言われています。
ダイビングライセンスの種類はたくさんある!
趣味としてスキューバダイビングを楽しむ「レジャーダイバーのためのダイビングライセンス」には、ダイビングスキルやトレーニングの受講段階によって様々なランクが用意されています。
「オープンウォーター」や「アドバンスド・オープンウォーターダイバー」といった名前のライセンスがレジャーダイバーのライセンスです。同じランクであっても指導団体ごとに名前が微妙に違う事もありますので、主要な指導団体のライセンス名を合わせて解説します。
オープンウォーターダイバー
スキューバダイビングの入り口として有名なこの段階。Cカード取得はここから始まります。
学科講習、プール講習、海洋講習を経て認定される流れです。
2人以上のダイバーと水深18mまで潜ることが可能ですが、まだ海の楽しさを味わうには厳しいかもしれません。たとえば南国の熱帯魚やサンゴの観察はできますが、流れのある海や洞窟ダイビングはかなり難しく感じるレベルです。
次の段階であるアドバンスド・オープンウォーターは、オープンウォーターダイバーのCカードを取得していればすぐに受講することが可能です。なるべく早めに受けることをお勧めします。
各指導団体のエントリーレベルカードはCカード協議会のサイトにまとまっています。
主要団体のオープンウォーターダイバー
- PADI:PADIオープン・ウォーター・ダイバー
- NAUI:スクーバダイバー
- SSI:オープンウォーターダイバー
- SNSI:SNSIオープンウォーターダイバー
オープンウォーターダイバーの取得方法
ダイビングスクールで「オープンウォーターダイバーコース」に参加して認定を受けることで取得できます。
オープンウォーターダイバーコースには、基礎知識を学ぶ学科講習、スキルトレーニングのプール講習/海洋実習があり、費用は平均5万円~6万円です。
- 学科講習
水中世界には非常にたくさんの魅力がありますが、正しい知識を持っていないと危険な世界でもあります。学科講習と筆記試験を通して、安全にスキューバダイビングを楽しむための知識を学びます。 - プール講習
最初の講習です。「限定水域講習」と言い、流れがなく足がつくような浅瀬などで行う講習です。プールを使って行うことが多いため「プール講習」と呼ばれています。 - 海洋実習
プール講習で学んだスキルを実際の海でトレーニングする実習です。水深5mくらいの浅瀬から徐々に深い場所に潜って実習を行うパターンが多いのでご安心を。
実際に取得する費用相場などは、ダイビングライセンス(Cカード)取得費用の相場は?格安ショップは危険?をご覧ください。
アドバンスド・オープンウォーターダイバー
レジャーダイビングを楽しみたいならぜひ取得しておきたいのがこのCカード。正式名称が長いので通称「アドバンス」と呼ばれています。
取得すると水深30mまで潜れるようになります。(指導団体によってはさらに深い場合も!)
海底遺跡や大きめの魚に出会えるようなポイントへ行くためには、このCカードを取得しているレベルになっていないと厳しいかもしれません。
海洋実習では水中ナビゲーションに加え、沈船・水中写真などの項目を選んで学ぶことが可能です。潜る楽しさや難しさ、奥深さに少しずつ気付けるようになっていきます。
主要団体のアドバンスダイバー
- PADI:アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー
- NAUI:アドバンススクーバダイバー
- SSI:アドバンスドアドベンチュアラー
- SNSI:SNSIアドバンスドオープンウォーターダイバー
レスキューダイバー
ダイビングをストレスなく思いっきり楽しみたい!もっとレベルの高い海を体感したい!という方にはレスキューコースの受講がおすすめ。
レスキューする=バディや仲間を助けるためには、自分のスキルも高い必要があります。
普段のダイビングでは経験しないような曳航(えいこう)などのトレーニングを通じて、自然とストレス耐性も、フィンキックなどのスキルもぐっと上昇するでしょう。
なお、レスキューを受けるためには各指導団体が決めたダイビング本数以上を潜っていることに加えて、ファーストエイドの認定(緊急時の心肺蘇生法(CPR)、AEDの使い方、酸素供給方法などを学ぶ)を受けている必要がある場合があります。
主要団体のレスキューダイバー
- PADI:レスキュー・ダイバー
- NAUI:スクーバレスキューダイバー
- SSI:ダイバーストレス&レスキュー
- SNSI:SNSIレスキューダイバー
マスターダイバー
このライセンスはある種記念のようなもの。レジャーダイバーとしての最高峰ではあるものの、規定の本数とレスキューダイバーのCカードを保有していれば自動的に認定される場合がほとんどです。
個人的には、マスターダイバーを所有して満足して終わるのではなく、ぜひプロのライセンスまで取得してほしいと考えています。
プロライセンスを持っていることで、ショップの見る目も変わり、潜りたいポイントに連れて行ってもらえる確率がぐっと上がるからです。(なお、マスターダイバーライセンスを所有していなくてもプロライセンスに挑戦することは可能な指導団体がほとんどです。)
ちなみに、プロライセンスの中に「ダイブマスター」という名称のCカードがありますが、「マスターダイバー」はレジャーダイバーの最高峰、「ダイブマスター」はアシスタントライセンスです。
主要団体のマスターダイバー
- PADI:マスター・スクーバ・ダイバー
- NAUI:マスタースクーバダイバー
- SSI :マスターダイバー
インストラクターを目指したい人向けのダイビングライセンス
プロダイバーのライセンスを取得すると、インストラクターをアシストすることが出来るように。ライセンスのレベルや指導団体によって、アシスト出来る範囲が少しずつ異なります。
なお日本国内で実際にアシスタントとして勤務し始めるには、「潜水士」という国家資格が別途必要です。(常勤・非常勤問わず)筆記試験のみ、合格率80%なのでそこまで気構えることはありませんが、受験できる場所とタイミングが限られているので注意しましょう。
ダイブマスター(ダイブガイド)
レジャーダイバーを引率し、水中ガイドをすることが出来るようになります。水中で先頭に立つということは、自分で冒険するルートを組み立てられるということ。ダイビングの本当の楽しさはここから始まると言っても過言ではありません。また一部インストラクターのアシストをすることもできるようになります。
アシスタントインストラクター
インストラクターのアシスタントとして、指導方法を学びます。レジャーダイバーの講習ではインストラクターのアシストすることが可能に。なかでもオープンの講習ではスキル評価までできるようになります。
主要団体のアシスタントインストラクターライセンス
- PADI:アシスタントインストラクター
- NAUI:アシスタントインストラクター
- SSI:アシスタントインストラクター(ダイブコントロールスペシャリスト)
- SNSI:ダイブマスター
インストラクター
インストラクターになると、レジャーダイバー向けの各講習を担当し、認定を発行することが可能に。
一口にインストラクターといっても様々なランクがあり、最初はオープンのインストラクターライセンスを取得し、その後アドバンスやレスキュー、各種スペシャリティのインストラクターライセンスを取得していく流れです。
主要団体のインストラクターライセンス
- PADI:オープンウォーター・スクーバ・インストラクター
- NAUI:NAUIインストラクター(ITC + IQC)
- SSI:オープンウォーターインストラクター
- SNSI:オープンウォーターインストラクター
インストラクタートレーナー
トレーナーのライセンスはインストラクターを育てる役割を持つことができます。さらに「教育委員会」が指導要領を作成するように、ダイビングの指導要領を作成することができるライセンスにステップアップすることも可能です。
主要団体のトレーナーライセンス
- PADI:IDCスタッフ・インストラクター
- NAUI:インストラクタートレーナー
- SSI:インストラクタートレーナー
- SNSI:インストラクタートレーナー
スキューバダイビングのライセンスには様々な種類があります。
まずはオープンウォーターとアドバンスオープンウォーターを取得して、その後挑戦したい海ができたり、ダイビングの魅力にハマってプロになりたくなったら、上級ライセンス取得を通じてスキルアップをしてみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!続けてお読みください
この記事を書いた人
- 井上 憲作SNSIダイブガイドを2018年7月に取得。 海より山が好きと公言していたが、2017年ダイビングと出会い「どハマり」し、すっかり海好きになりました(笑)